概要
慣れというものには、信じられないくらいの価値がある。
ユーザーは、使い慣れているアプリやプロダクトについては、少し触っただけで操作方法がわかってしまう。
ユーザーが画面の操作方法に気を取られなければ、仕事の効率がさらに向上する
ページの構成、定番の要素(ナビゲーション、サーチなど)の配置に、普及したデザインや慣例を参考にして採用することで、新しいプロダクトでも画面の操作方法の学習をする必要がかなくなり、すぐに仕事に取り掛かることができる!
ヤコブの法則とは
ユーザビリティの専門家であるヤコブ・ニールセンによって2000年に提唱された。
ユーザーは、アプリやプロダクトなどに、既存のものと同じような動作を期待する。ユーザーは慣れ親しんだプロダクトに対して抱いていた期待を、同じような製品にも持つというものだ。
既存のメンタルモデルを活用することで、ジェスチャー、視覚的な合図、スクロールなど、慣れ親しんだ動作でタスクに集中できるような、優れたユーザー体験を実現することができる。それにより、ユーザーが新しい メンタルモデルの学習をしなくとも良いため、CVが高まる。
デザイナーはクリエイティブなUIをデザインしたがる、今までにないような新しい体験は、ユーザーを混乱させるだけである。最近のソーシャルメディア系のUIがどれも似たものになっていることにも、この法則を活用していると言える。
メンタルモデル
メンタルモデルは、システムの振る舞いにおいて、自身がどのように理解しているかという概念である。
システムになにをしたらどうなるのかというモデルを我々は頭の中で構築している。
そして、そのモデルを似たような場面に出くわした時にうまく活用している。つまり、過去の経験をもとに新しいプロダクトを操作しているといえる。
デザイナーとしては、このメンタルモデルを探る必要がある。メンタルモデルが明確になればそれをプロダクトに落とし込むことで、よいユーザー体験ができる。
メンタルモデルを知るために、デザイナーは、ユーザーインタビュー、ペルソナ、ジャーニーマップ、エンパシーマップなどの手法が役に立っている。
事例
メンタルモデルの不協和という言葉がある。
それは、デザイナーが考えるメンタルモデルとユーザーのメンタルモデルがあっていない場合に生じる現象で、プロダクトやサービスの見え方だけではなく理解の速さにも影響を及ぼす。
そのメンタルモデルの不協和が起こした事例を示す。
Snapchat は2018年にリデザインを行った。緩やかな反発的開発や広範囲にわたるβテストを行わずに、いきなり大幅に変更されたプロダクトをリリースした。
その結果、ユーザーはその変更についてこれず、ネットで炎上し、ほかのプロダクトへの乗り換える人が多くなった。
Snapchat はユーザーのメンタルモデルを理解できずに、メンタルモデルの不協和を引き起こして大きな反発を招いてしまった。
しかし、大規模なリデザインが必ずしも失敗するとは限らない。
Googleは大幅な変更を行ったが、ユーザーに対して、新しバージョンを使用するかどうかの選択を与え、さらに変更後も元に戻せるという保証を設けた。
そうすることで、メンタルモデルの不協和の緩和をすることができた。
では、ヤコブの法則にしたがうと、新しいプロダクトを作れなくなってしまうのではないか?同じようなものばかりになってしまうのではないか?
まとめ
ヤコブの法則は、すべてのプロダクトや体験が完全に一致しなければならないと言っているわけではない。
ユーザーに新たな体験をしてもらいたいのであれば、過去の体験をもとに学習できるものである必要があるということだ。
この法則から考えると、まずは一般的なデザインパターンでプロダクトを始めていき、その後、うまくいきそうなときに、新しい体験を組み込んでい行くということになる。
デザイナーとして、ユーザーのメンタルモデルを正しく理解することがCV向上に貢献していける。
- ユーザーが慣れ親しんだアプリと見た目が同じであれば、同じような挙動をすることを期待している
- 既存のメンタルモデルを使うことで、ユーザーは新たなメンタルモデル構築なしにタスクに集中でき、CVが高まる
- 変更する時の違和感を最小限に抑えるために、慣れ親しんだバージョンに戻す選択肢をユーザーに与える
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