本日は、著者樽本徹也 さんの「UXリサーチの道具箱Ⅱユーザビリティテスト実践ガイドブック」を参考にユーザビリティテストについてまとめました。新たなにアプリやサイトをリリースする際には必ず役に立つと思っています。
ユーザビリティテストとは
ユーザビリティテストとは、ユーザにタスク(作業課題)を提示して、その実行過程を観察することを指します。
テストを行ってもらう際には、ユーザに思ったことを口に出してもらい、ユーザの認知プロセスや、捜査の失敗や不満の原因を明らかにしていきます。
ユーザビリティテストの流れと具体的な対応事項
総括的評価を目的としたユーザビリティテストが主流の時代は企画から完了報告までに約2ヶ月かかっておりましたが、その後軽量化・効率化が進み、現代では1週間+αで完了できるようになりました。
現代のユーザビリティテストでは、玄人は1週間、素人は2~3週間と余裕を持って計画立てすることをおすすめいたします。
仮にはなりますが、以下のスケジュールで①〜④の対応を行っていきます。
- 金曜日:①リクルート開始
- 月曜日:②設計開始
- 水曜日:①リクルート、②設計完了
- 木曜日:③実査(3〜4人)開始
- 金曜日:③実査(1〜2人)完了、④分析完了
(土曜日に5人まとめて③実査も可。その場合、④分析は翌月曜日)
※U Xリサーチの道具箱Ⅱユーザビリティテスト実践ガイドブック・P32引用
それでは、①〜④の具体的な対応事項に関しても記載していきます。
1 リクルート
まずは、ユーザビリティテストを対応してくれる参加者を募ります。リクルートはユーザビリティテストのファーストステップであると同時に、成否を左右する重要な活動です。
ユーザビリティテストに来てもらう参加者は、その製品を使う代表的な人を募りましょう。
では、その製品を使う代表的な人とはどのような人なのでしょうか。
例)
テストしたいアプリ:チラシアプリ
正)リクルート対象者:実家暮らしをしている21歳の男子大学生の母親
理由:普段の生活で、旬の食材を探したり、お買い得商品を探したりするからです。
誤)リクルート対象者:実家暮らしをしている21歳の男子大学生
懸念点:彼は、アプリを使って近所のスーパーのチラシは表示できそうですが、旬の食材を探したり、お買い得商品を探したりはしないと思います。なぜなら、実家暮らしで買い物に行かないことが想定されるからです。
また、よくありがちな失敗例は他にもあります。適当に年代ごとや性別で参加者を募ることです。(例:20、30代の男性など)それだと、適切なテストをすることができません。我々が行うのは、市場調査ではなく、ユーザビリティテストなのです。
2 タスク設計
タスク設計は結果を大きく左右させます。
適切なタスクを設計するためには4つの基本原則があります。
1 主要なタスクを絞り込む
ユーザーが利用する目的はさまざまです。全ての目的を洗い出そうとすると、数百にも及びます。そのため、主要なタスク(目的)だけに絞りこみます。
2 ユーザの視点で発想する
ユーザインターフェイスの最も重要な役割はユーザの目的達成サポートです。つい自分達がやってほしいと思っていることを考えてしまうので、注意が必要です。
3 スタートとゴールを設定する
テストでは、ユーザがゴールを達成できるかどうかを確認します。その際に、ゴールがどういう状態なのか定義されていない場合、評価をすることができません。そのため、ゴール設定はきちんとしておきましょう。
4 シナリオ化する
タスクの内容が適切であっても、唐突に「このサイトやアプリでお店を探してください」と言われた場合、ユーザは困ってしまいます。そのため、ユーザが実際の状況を想像できるように仮の状況を設定します。
3 実査
実査は、2日日程ほど用意しておくことのが良いでしょう。また、参加者がキャンセルすることを考えると、リザーブも用意しておくことをおすすめいたします。
実査当日の流れは、1受付、2イントロ、3事前インタビュー、4事前説明、5タスク実行観察、6事後インタビュー、7エンディングという順番で行っていきます。
4 分析
最後に、テストを踏まえて、分析を行っていきます。
分析の流れは以下の通りです。
ポストアップ
ユーザがテスト内で困っていたこと(事実)を挙げていきます。(テスト中にメモをとりながら行っても構いません)ここでの注意事項は、事実を挙げることです。
マッピング
先ほどあげたユーザが困っていたこと(問題点)をタスクごとに整理します。整理をしていくと、ユーザが同じアプリの同じ画面で同じ問題点を抱えていたなんてことに気づくことができます。
タスク達成状況整理
タスク達成状況を次の通りに3段階で評価します。
○ユーザは独力でタスクを完了させた
▲ユーザは独力でタスクを完了させたが、途中戸惑いがあった
×ユーザは独力でタスクを完了させられなかった
これらを集計すると、どこに問題がありタスク完了まで導けなかったのかが明確になります。
プロブレム・マトリクス
問題の発生頻度と、問題の質の2軸に絞って評価をします。
問題の発生頻度とは、問題が観察されたユーザ人数のことです。
問題の質とは、「効果・効率・満足度」のことです。
※効果問題とは、ユーザタスクの達成を困難にする問題
※効率問題とは、ユーザを戸惑わせる問題
※満足度問題とは、ユーザが不満や不満を口にする問題
効果>効率>満足度の順番に評価をしていきます。
レポート
上記の内容を簡潔にレポートにまとめておきましょう。無駄に時間をかける必要はありません。
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